働き方改革という言葉が社会に広まり、数年が経ちました。御社でも、フレックスタイム制やテレワーク制度、有給取得推進、残業時間の管理強化など、何らかの取り組みを導入されたのではないでしょうか。
しかし、最近こうした声をよく耳にします。
「制度は整えたけど、実際には現場がうまく活用していない」
「評価制度が変わっていないから、結局長時間働いた人が評価される」
「テレワークOKにしたのに、誰も使ってくれない」
これはまさに、“制度導入で止まっている”状態です。本当の改革とは、制度を「使いこなす文化」を根づかせること。今回はそのギャップに焦点を当てながら、「制度導入後、何をすべきか?」について考えていきます。
1. なぜ制度は使われなくなるのか?
多くの企業では「制度設計」がゴールになりがちです。しかし、実は制度よりも「制度を使うことへの心理的ハードル」が、現場での定着を妨げていることが多くあります。
たとえば:
- 使ったら評価が下がるのでは?という不安
- 周囲が誰も使っていないから、使いづらいという空気
- 制度が運用に合っていない(現場の実態に合わないルール設計)
こうした“見えない壁”が、制度の実効性を奪っているのです。
2. 働き方改革の「第二ステージ」へ進むには?
制度導入が「第一ステージ」だとすれば、今こそ次の段階である「第二ステージ」に移行するべきタイミングです。第二ステージでは、以下のような観点が重要になります。
✅ 運用の見直しと現場ヒアリングの継続
導入した制度がどれだけ使われているか、使いにくさはないか、現場の声を定期的に吸い上げましょう。制度を“現場仕様”に調整する柔軟性が、定着のカギになります。
✅ 制度活用のロールモデルをつくる
管理職やキーパーソンが制度を率先して使うことで、「使っていい雰囲気」が広がります。活用して成果を出している人を社内で可視化するのも有効です。
✅ 評価制度とセットで見直す
働き方を変えたのに、評価基準が旧来の「長時間労働前提」のままだと、誰も本気で制度を使いません。働き方改革は、人事制度との連動が不可欠です。
3. 改革は「続けるもの」—一過性にしないために
働き方改革とは「一度きりのイベント」ではなく、企業文化を更新していく継続的なプロセスです。経営者や人事が旗を振り続け、現場と対話し続けることで、初めて実を結びます。
ときに立ち止まり、ときに方向修正をしながら、「本当に働きやすい」「成果が出やすい」職場とは何かを問い続けていくことが、組織の持続的な成長につながります。
まとめ
- 働き方改革は「制度をつくること」ではなく「制度を活かす文化をつくること」
- 現場の声、評価制度、ロールモデルが定着のカギ
- 改革は継続的な取り組み。検証→改善→定着のサイクルを意識することが重要
次回は、「テレワーク定着の壁—『出社圧力』の正体と対処法」というテーマで、現場の“なんとなく出社してしまう空気”を打破するヒントをご紹介します。