テーマ:働き方改革(第2回)テレワーク定着の壁—「出社圧力」の正体と対処法

テレワーク制度を導入したにもかかわらず、

「結局、みんな出社している」
「制度はあるのに、誰も使っていない」
と感じたことはありませんか?

これは「出社圧力」という無言の空気が職場に漂っている可能性があります。今回は、この目に見えにくい“空気”の正体と、それを解消するための具体策について考えていきましょう。


1. 「出社圧力」はなぜ生まれるのか?

制度としてはテレワークが可能であっても、実際に利用されない理由は以下のような心理的・文化的な要因によるものが多いです。

■ 上司が出社している

上司が出社を前提にしている場合、部下は「在宅では評価されにくい」「顔を出さないと心証が悪い」と感じます。

■ チーム内に「誰も使っていない」状態が続く

テレワークは一人では使いにくい制度です。「自分だけが在宅だとサボっていると思われそう」「連絡しづらい」と感じてしまい、結果的に全員出社…という悪循環に。

■ 業務プロセスが「出社前提」になっている

紙の書類への押印、対面での承認、固定電話対応など、制度だけでは解決できない“仕組みの壁”が残っているケースもあります。


2. 出社圧力を解消する3つの実践ポイント

✅ ① 管理職が「在宅勤務の見本」になる

現場に与える影響が大きいのは管理職です。まずはマネージャー層が率先して在宅勤務を活用することで、テレワークが「使ってよいもの」として自然に根付きます。

✅ ② テレワーク活用の目標と実績を“見える化”する

「週1回以上の在宅勤務を目標」といった目安を設定し、部署ごとの実施状況を社内で共有することで、心理的ハードルが下がります。表彰や称賛の仕組みを加えるのも効果的です。

✅ ③ テレワーク前提の業務フローに見直す

書類の電子化やクラウド活用、チャットでの承認プロセスなど、「物理的に出社しなくても仕事が進む仕組み」を整えることが根本解決につながります。


3. 「出社か、在宅か」ではなく、「選べる働き方」へ

テレワークは、万能な働き方ではありません。業種や職種によっては難しいケースもあります。ただ重要なのは、「選択肢がある」「働く人が選べる」という状態を整えることです。

出社も在宅もフラットに選べる環境こそが、社員の納得感と生産性を生み出します。そしてそれは、離職防止や採用強化といった経営面にもつながっていきます。


まとめ

  • テレワークが定着しない原因は、制度ではなく「空気」や「仕組み」にある
  • 管理職の行動、見える化、業務フロー改革が定着の鍵
  • 「出社か在宅か」ではなく「選べる働き方」の実現を目指す

次回は、「管理職がボトルネック?ミドルマネジメントと働き方改革のジレンマ」と題して、改革を阻む“中間管理職の本音”に焦点を当てていきます。

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