コロナ禍をきっかけに一気に普及したテレワーク。
しかし、2025年の今、「出社回帰」の動きが見られる企業も増えています。
- 「リモートだけではチームの一体感が薄れる」
- 「オンラインでのコミュニケーションに限界を感じる」
- 「若手の育成が難しい」
こうした声は、どの企業でも共通です。
一方で、出社だけに戻してしまえば、従業員の柔軟性や働きやすさは逆戻りです。
そこで注目されているのが、「ハイブリッドワーク」という選択肢です。
しかし、この形を成功させるには、「ただ在宅と出社を混ぜればいい」という単純な話ではありません。
1. ハイブリッドワークが形骸化する理由
多くの企業がハイブリッドワークを取り入れているものの、
- 「結局いつ誰が出社すればいいのか分からない」
- 「リモートの人だけ情報が届かない」
- 「結局、顔を合わせた人だけで物事が決まる」
といった課題に直面しています。
つまり、出社前提の職場をベースにして“リモート勤務”を無理やり乗せているだけでは、ハイブリッドの強みを活かせないのです。
2. カギは「職場の再定義」にある
ハイブリッドワークを形だけにしないためには、「オフィスは何のために存在するのか」を問い直す必要があります。
たとえば:
- オフィスは「集中して仕事をする場所」ではなく、「協働と学びの場」として使う
- 雑談や偶発的なコミュニケーションの価値を高める
- 個人作業は自宅で、チーム作業はオフィスで、と役割を分ける
こうして、出社する理由を明確化することで、出社も在宅も意味のある選択肢になります。
3. ハイブリッドワークを機能させる具体策
✅ ① 目的ベースで「出社ルール」を決める
「何曜日は必ず出社」ではなく、
「この業務、このミーティング、この研修のために出社する」という目的とセットのルール化が有効です。
✅ ② 情報格差をなくす
オフィスにいる人だけで物事が決まると、リモート勤務者のエンゲージメントは下がります。
- 会議は必ずオンライン接続を含める
- 決定事項はチャットなどで即共有する
- 会議体も「オンライン前提」で設計する
こうした情報の公平性の確保が重要です。
✅ ③ 「対面だからこそできること」を企画する
雑談、ワークショップ、リアルイベントなど、対面でしか得られない価値を意図的に設計しましょう。
「わざわざ集まる意味がある」ことで、出社への納得感と満足度が上がります。
4. ハイブリッドの成功はマネジメントのアップデートが前提
結局のところ、ハイブリッドワークを成功させるのは「仕組み」だけではなく、
- メンバーがどこにいても成果を出せるように仕事を分解する
- アウトプットで評価する
- チームでコミュニケーションのルールを決める
といったマネジメントの進化です。
単なる制度ではなく、「文化としての柔軟性」を根づかせることが、働きやすさと成果を両立させます。
まとめ
- ハイブリッドワークの形骸化を防ぐには、「職場の意味」を問い直す
- 出社と在宅の役割分担を明確にする
- 情報格差をなくし、対面の価値を最大化する
- マネジメントのアップデートが成否を分ける
次回は、「『ゆるい職場』と『甘い職場』は違う — 自律型組織をつくる仕掛け」をテーマに、働きやすさと自律性のバランスをどう保つかを掘り下げます。