働き方改革、テレワーク、フレックス、裁量労働制……
多様な制度が広がる中で、現場からはこんな声を耳にすることがあります。
「うちは働き方が自由すぎて、だらけてしまう人がいる」
「管理を緩めたらサボる社員が増えた」
「結局、優秀な人に負担が集中している」
働き方を柔軟にしたはずが、「甘い職場」になってしまっていないか。
この違いを見極め、「ゆるいけど成果が出る職場=自律型組織」をどうつくるかが、これからの大きな課題です。
1. 「ゆるさ」と「甘さ」はどこが違う?
ゆるい職場
→ 制約が少なく、時間や場所の自由度が高いが、成果に対する責任は自分で引き受ける
甘い職場
→ 制約がなく自由に見えるが、成果が出なくても注意されない/役割が曖昧/責任が問われない
つまり、「自由」と「責任」がセットになっているかどうかが大きな違いです。
2. 「自由」と「責任」を両立させるには?
では、どうすれば「自律的に動ける自由な職場」をつくれるのでしょうか?
ポイントは3つあります。
✅ ① 「成果の基準」を明文化する
裁量を広げるなら、何を成果とするかをクリアにする必要があります。
- 何をどのレベルまでやるのか
- どこまで自分で決めてよいのか
- どのタイミングで報告するのか
目標が曖昧だと、責任を果たす範囲も不透明になります。
「自由に働いていい」が機能するのは、評価軸が明確だからこそです。
✅ ② 行動や成果を“見える化”する仕組みをつくる
自由度が高いほど、「誰がどこで何をやっているか」が見えなくなるリスクがあります。
そこで、
- 進捗管理ツールの活用
- 定期的な1on1やチームミーティング
- 成果報告を全員で共有する
など、アウトプットが可視化される仕組みが必要です。
「放任」と「信頼」は別物です。信頼は情報の透明性から生まれます。
✅ ③ 失敗しても“立て直せる”文化を育てる
自由に任せる以上、失敗は避けられません。
大事なのは、失敗したときに「責める」ではなく、「学びに変える」カルチャーを用意することです。
- 失敗事例をチームで共有する
- 成果だけでなく「挑戦したこと」を評価する
- 誰か一人に責任を押し付けない
これにより、「自分で考えて動くこと」を恐れない風土が育ちます。
3. 自律型組織を支えるのは管理職のマネジメント力
柔軟な働き方は、放置プレイとは違います。
自律型組織の裏には、管理職の新しい役割が存在します。
- メンバーが自己管理できるように、目標設定と進捗確認を丁寧にする
- チーム内で負担が偏らないように調整する
- 頼りすぎる人、サボる人を適切にフォローする
自由と責任を両立できる場を作るのは、現場リーダーの腕の見せ所です。
まとめ
- 「ゆるい職場」と「甘い職場」の違いは、責任の有無
- 自律型組織のカギは「目標の明確化」「進捗の見える化」「失敗を許す文化」
- 管理職が“放任”ではなく“自律を支援する存在”になることが成功のポイント
次回は、「人が辞めない職場に必要な『心理的安全性』とは?」をテーマに、働き方改革の土台を支える“安心して意見を言える職場づくり”のヒントをお届けします。